想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


1階に下りて昼食を済ませると、お母さんがテレビを点けた。

なにを観るのかと思いながら画面を見ていると、録画してあったドラマが流れた。

私もお母さんも楽しみにしているドラマで、それが流れれば宿題なんて忘れ、ドラマの世界に入り込んだ。

他にもいくつかドラマが溜まっていて、それらの鑑賞が始まってしまえば夏でも日が暮れるのは早い。

あっという間に窓の外は暗くなり、窓はカーテンで隠され、リビングには電気が点いた。

それから間もなくお父さんも帰って来て、夕食の時間になった。

部屋に戻ったのは、夕食と入浴が済んでからだった。その頃の時計はだいぶ遅い時間を示していて、宿題の続きをやることもなくベッドにもぐった。


そう時間を要することなくついた眠りから目を覚ましたのは、枕元の携帯がメールを受信したことを知らせた昼過ぎ。

携帯が受信したメールは、予想通り綾美からのお誘いメールで、『HELLO! 暇なんだけど、今日はどう?』と書かれていた。

さすがに2日連続は悪いな、と思い『こんにちは 今日は大丈夫だよ』と絵文字を混ぜて打った。

そして『送信』に触れようとしたとき、昨日嘘をついてまで断った理由を思い出した。