想い舞う頃〜最初で最後の恋〜


『Hello! 元気!? あたし、暇。とてつもなく』

明るすぎるほどの文面に、再びため息が出た。

今まで、綾美の誘いを断ったことは一度もない。喜んで暇だと返した。

だけど今日ばかりは、とてもじゃないけどそんな気分ではない。

綾美と会ったり話したりするのが嫌なわけではない。むしろ今日もメールがきたことは嬉しいし、宿題も教えてもらいたい。

だけど、昨日や一昨日のように芹沢くんたちの話を聞かされると思うと、どうも気が向かない。

綾美には悪いと思いながらも、今日は用事があるという内容の文を打って『送信』に触れた。画面に『送信が完了しました』の文字が浮かぶと、なぜかほっとした。

だけどそれも長くは続かず、手元の携帯はすぐにメールを受信したことを知らせた。

『ざんねーん。ほんと残念。あ、じゃあ用事終わったらメールくれない? それからうち来てよ』という文に、本当に用事があるつもりで『何時になるかわからないよ?』と返した。

それにすぐ返ってきたメールには、『じゃあいいや。愛より先に宿題 全部終わらせてやる』と書かれていた。

そういえば宿題なんてなにがあったかも覚えていないなと思いながらごめんねと返すと、綾美とのやりとりは終わった。