新しい朝、空は本日も快晴。のんびりと自転車を漕ぐ新しい通学路には、暖かく爽やかな春の風が吹いている。その風が気持ちよくて、次第にペダルを漕ぐ足が速まり、最終的には立ち上がった。
小嶋の自己紹介が終わると、すぐに帰りとなった昨日。お母さんと合流するとすぐ、友達ができたことを話した。
なにか嬉しいことがあると人に話したくなるのは、小さい頃から変わらない。話し始めると止まらなくなるところもだ。止まらなくなると言っても、結局 最後は話したかったこととは関係のないことを話しているのだけど。
家を出て約30分。無事に学校の自転車置き場へ着いた。すでに結構な数の自転車がとめられている。さすがに、入学早々 遅刻するような生徒はいないようだ。
適当に自分のクラスの位置に自転車をとめていると、聞き覚えのある声が尋ねるように私の名前を呼んだ。
その声の聞こえた方には、新たな友達、綾美の姿があった。私と目が合うと、彼女は安心したような笑みを浮かべた。
「やっぱりそうだ。おはよっ」
「おはよ」
綾美の元気な声は、聞いていて元気をもらえる。綾美は、昨日会ったばかりだけど、もう1人の咲菜のような存在になりつつある。
「ああ……。とりあえず今日で終わりだね」
自転車のかごに入った鞄の肩紐を掴むと、綾美は疲れたように言った。
「そうだね」
「はあ、しょうがない。……行ってやるか」
綾美はそう言うと、自転車のかごから めんどくさそうに鞄を出した。
「明日 明後日は休みだから。頑張ろっ」
鞄を持ち、私は「行こ行こっ」と綾美の背中をぽんぽんと叩いた。



