「奈々ちゃん?騎士とかコスプレイヤーが護ってると思うよ。何でそんな。」
「理由は2つ。1つはさっき被ったから。人狼を知らない市民陣営の人たちは山辺さんか町さんのどちらかがコスプレイヤーだと思ってるでしょ。それで、さっきの投票で山辺さんが死んだとはいえ本当のコスプレイヤーである町さんは残ってる。それは一さんも可能性として考慮というより、何となく一さんは山辺さんを疑っているようにも見えたし。まあ、そういうこと言ってないから微妙だけど。」
「つまり、お互いがそれぞれ守ると思ってるから結果的に守られないと。それって微妙じゃない?若山クンが奈々ちゃん守るかもしれないじゃない。」
「それを決定付けるのが2つめの理由。多分2人は佐藤さんを護る。」
「何で?市民かどうかも疑わしいのに。」
「それは佐藤さんが『何か』を知っていたっぽかったからだよ。」
「何かって何よ。」
「例えば誰も疑わなかった私に本当に狼つきかって聞いてきたし。それに、自分以外に市民はもう1人いるって言っていたことを考えると次の夜まで残しておきたくない?」
「確かに。何で知っているかは謎だけど。貴女って賢かったのね、みのりちゃん!」
「ううっ苦しい。抱きつかないで。」
「あ、ごめんなさい。つい反射的に。」
「ケホッケホッ。別にいいよ。あ、さっきの綾辻さんの疑問だけど多分佐藤さんは偉大な霊媒師だよ。」
「すっかり存在を忘れてたわ。なるほど、レオンさんが偉大な霊媒師ならみのりちゃんを疑ったことに説明がつくもんね。」
「そういうこと。綾辻さんも結構頭の回転早いね。」
「結構ってそれはみのりちゃんより遅いって言いたいのっ!」
そして私たちは笑った。そうでもしていないと山辺さんのことを思い出して胸が押しつぶされそうだったからだと思う。そして、私はもう1つの真実にたどり着いていた。それは、最悪のものだったから綾辻さんには言えなかった。