「綾辻さん、どうしよう。山辺さんが死んじゃった。何で綾辻さんも山辺さんを殺そうだなんて言ったの?ねえ!答えて!」
私は相当パニックになっていた。そりゃそうだ。山辺さんは昔から私に色々と教えてくれていた。この恐ろしいゲームが始まってからも私を本当の意味で助けてくれていたのは山辺さんだ。
「そんなのどうしようもなかったじゃない!ここで私がこころんを推していれば私も後に死ぬ!共倒れするよりどちらか一方が残ったほうがいいじゃないか!そういうみのりちゃんだって処刑のとき何も言わなかったじゃない!」
「それは…。」
「いい、多数決の前に少数派の意見なんて無いも同然なの!『力』の強いほうが上に立つのよ!民主主義だろうとそれは同じ。『力』の定義が変わるだけ。いい、いくら私とあなたが反論したとしてもそれは無意味なの。それより今日からはあなたが殺さなくちゃならないのよ?誰を殺すかもう決めてあるの?お願い、冷静になって!もう終わったの。ねぇ…。」
綾辻さんは、叫んだ。それはもう村じゅうに響き渡るんじゃ無いかという程。まあ、人狼会議をしている部屋は完全に防音されてるから外には聞こえないんだけどね。
綾辻さんの目の下が、光に反射してキラリと光った。

「綾辻さん。ごめん。自分ばっかりで。」
「私こそ、叫んでごめんなさい。」
「いいよ、おかげで冷静になれた。誰を殺すかだけど、私は小島さんを殺そうと思う。」