「あら、ご存知ではなかったのぉ?裏切り者(わたし)のこ・と。」
「存在は知っていましたが、とうに滅びたと思っていました。」
「あらぁ、勝手に滅ぼさないでちょうだい。仮にも祖先は人狼よぉ。生命力は他の人間とは比にならないと思うわぁ。」
「その喋り方いちいちかんに障るのでやめていただきたいのですか。」
「一応この喋り方で19年間生きてきたんですけど。」
「知りませんよ。そんなこと。」
「そんなことって…。ところで、みのりちゃんが固まってるけどいいの?」
「全然良くないです。おーい、起きてください。」
「………の…………ば………う………たの?」
「「はい?」」
「はじめのあの言葉全部嘘だったの?」
「あー、あれですか。」
「へー、どれですか?」
「わからないなら返さないでください。」
「その場のノリってやつよ。ねえ、何のこと?」
「はじめの夜に山辺さん『裏切り者なんて知りませーん』って言ってじゃないですか。」
「(若干どころじゃなくほとんど変わってますが)あれは、誰なのか知りませんって意味です。だから、何か聞いてないかと貴女に言ったんですよ。」
「分かりにくいわっ。」
「それは失礼しました。」