「あたし、きっと嫉妬したりしちゃうかもしれないけど……八雲のこと信じるから」


「うん、信じて」


「だから、あんまり不安にさせないでね」



ずっとあたしを好きでいてほしい。

気持ちは隠さずに伝えて欲しいよ。



「……なんなんだ、この可愛い生き物は!!」


「きゃっ……な、なにごと!?」



ガバッと、急に八雲に抱きつかれる。

腰に回る腕が強くて、あたしは八雲の胸板に顔面を押し付けられた。



「アンタ、マジなんなの!?可愛すぎて……俺を殺す気だろっ」


「や、八雲……ギ、ギブです……っ」



く、苦しいっ……。

けどあれ、なんか甘い香りがする……香水かな?



「うっせ、アンタが悪いんだかんな。そのまま窒息しやがれ」

「んー!!」



さらに強く抱きしめてくる八雲に、あたしはジタバタ暴れた。

八雲ってば、強く抱きしめすぎっ。



「ぷはっ、もー!!」


「ハハッ、暴れんなよ」


そう言いながらも笑っていると、八雲はワシャワシャとあたしの頭を撫で回す。


「好きだよ、泪」


ーードキンッ。

あぁ心臓が今すぐ壊れそう。

だって、本当に愛しそうに見つめて、まっすぐ伝えてくるから。


「あたしも、八雲が好き」


「なら、もう一度させろよ」



放課後、茜色に染まる保健室で、あたしたちは見つめあう。

もう一度訪れるキスの予感に目を閉じて、すぐにやってくる八雲の温もりに幸せを感じた。