先生に挨拶をして、校門までやってくると、あたしは見慣れたシルバーの車へと駆け寄った。


コンコンッと窓を叩けば、スッキリとした黒い短髪の清潔感ある男性があたしを見る。


自分で言うのもなんだけど、なかなかの好青年なんだ、うちの兄は。



「いつもありがとう、透お兄ちゃん」


「別にいいよ、大学の帰りに寄れる距離だしな」


中に入ると、見慣れた人の良さそうな笑顔が返ってくる。


そう……あたしはいつ眠りこけるか分からない。

現に今もまだ眠いし、もっと酷い時は動けない時もあるから、こうしてお兄ちゃんは毎日あたしを迎えに来てくれる。



「今日は、眠気大丈夫か??」

「いや、今日も4時間くらい寝ちゃった。これじゃあ、学校行く意味無いよねー」


「でもほら、単位があるからな」


確かに……。

単位ばっかりはどうにもならないしね。

とりあえず行けば出席扱いにしてもらってるだけ、ありがたいんだけど……。


「でも、毎日がつまらないなぁ……なんて」



友達と一緒に授業のグチ言ったり、普通に恋愛したりさ。

こんな、いつ眠っちゃうか分からない人を、好きになる人なんていないだろうし……。