「だけど、こんなことって無いよ……」



約束したのに、八雲と……。

あたしと会うの、楽しみだって言ってくれたのにっ。

横になったまま、腕で目元を覆うと、ポロポロと我慢出来ずに泣き出した。



「透お兄ちゃん、どうしてあたし……みんなと違うんだろうっ」


「泪……なにか、あったのか??」


「うんっ……どうしても会いたい人がいたんだけど、会えなかったっ」



待ち合わせは朝、今はもう夕方で……。

八雲、約束も守れないあたしのこと、嫌いになっちゃったかな……。


「泪……」


「あたし、何も悪いことしてないっ、なのにどうしてっ」



どうして、ただ会いたい人と会うことすら出来ないの?

贅沢なんて言ってない、ただ、普通な生活を望んでるだけなのに!!



「辛かったな……でも、そんな泪を受け入れてくれる人がきっといるはずだと、俺は思う」


「ううっ……そんなの信じられないっ。だって、中学ではみんながあたしのことっ……」



怠け者だの、サボり魔だの……。

あの言葉が忘れられなくて、人を信じられなくなった。

だけど、一人はやっぱり寂しくて、本当は誰かに気づいて欲しかったんだ。