「八雲」
「ハイ……」
「俺は男だから、二度と言わない様に。でないと、明日から引き出しいっぱいに少女漫画詰めこむから」
「……スミマセンデシタ」
雪人は、女顔のことすげー気にしてるんだよな。
女顔とか、乙女とか、可愛いもギリアウトな感じで、言ったら最後、この男は白王子から黒王子へ変化する。
くわばら、くわばら……。
「とにかく、話を戻すけど、俺には八雲が神崎さんを少なくとも気になってるようには見える」
「でも、まともに顔みて話したことないんだけど、俺」
「でも、電話とかしてるんでしょ?」
「まぁ……」
「人を好きになる瞬間なんて、それぞれだろう?一目惚れとか、その人の空気感とか、話してみて波長が合うとかね」
雪人、完全に俺が泪を好きみたいに言ってるけど……。
いや、そう見えるってことは俺、少しはあいつのこと、気になってるってことか?
「いやら俺もっとイケイケな感じの女の子がタイプ……のはずだし!」
「好きになった子がタイプになるんだよ、本気の恋なら」
そう言って雪人は読書を始めてしまう。
本気の恋なら……か。
それなりに恋愛経験はあるし、彼女だっていたこともある。
でも……今までの女の子との恋愛とは、少し違うんだよな、泪のことは。
でももしも……なんて、考えるのは、雪人があんなことを言うからだ。
俺が泪のことを……ねぇ。……イヤイヤ、まさかな。


