「泪……泪、目が覚めたんだなっ」

「あ……」


だんだんクリアになる視界に、会いたい人の姿を見つけた。

あぁ、そう……ずっときみに会いたかった。


ポタポタと、頬に落ちてくる雫。

これは……あたしのモノじゃないみたい。

目の前で顔をのぞきこんでいる、きみのものだった。



「やっと、俺を見た……ずっと、アンタのこと待ってたんだぞ……っ」



眉を寄せて、何かを堪えるように泣きながら無理やり笑おうとする。

そんなきみの切なげな笑みに、胸が締め付けられて仕方ない。

だから、いつもみたいにイタズラな笑顔を見せてよ。

からかっても、怒らないから。

泣かないで、欲しかった。

どれだけ、心配かけちゃったんだろう……。



「泪も、俺のことを待っててくれてたんだな……」



あぁ、透お兄ちゃんか、看護師さんにでも聞いたのかな。

先に、あたしが目覚めてたから……。

八雲がまだ眠ってて、すごく不安で、取り乱してしまった。



「待ってた……よ、八雲のこと。ずっと声が……聞きたかった、やっと会えたね……っ」


「あぁ、俺たち……お互いに会いに行ったり、待ったり……忙しいよな」



困ったように笑う八雲。

それにつられてあたしも笑うと、不意に沈黙が訪れた。


そうだ、今こそ伝えよう。

次に目覚めたら、君に伝えたいと思っていたことを。