『お願い、目を覚まして……』



声が、遠くから聞こえる。

重くて、目が開けられねー。

意識はハッキリしてるのに、体だけが眠ってるみたいだ。

ここはどこだ、真っ暗で何も見えない。

まるで、まだ夢を見ているみたいに……。



『八雲しか……いないんだよぉ……っ』



アイツの、泣きそうな声。

いや、もう泣いてるのか……?

そばにいてやりたい、抱き締めてやりたい。

なのに、指一つ動かすことさえ億劫だ。



『ずっと、待ってる』


待ってろ、今すぐアンタに会いに行くから。

だから、泣くなよ。

大丈夫だから、ちゃんと約束守るから。


「そうだ、約束……アイツが待ってる」


やっと、声が出た。

駆け巡る、温かい何かに突き動かされて、指がピクリと動いた。


「会いたい……会いたい、今すぐアンタにっ」


体が、軽くなっていくのが分かる。

あぁそうか、この温もりは……アンタに会いたいって気持ちだったのか。

それに気づくと、俺はゆっくりと瞼を持ち上げた。