涙に歪む視界の中、ベッドの横にある机の上に、あたしのピンクのスマートフォンが置いてあることに気づいた。


「どうして、これがここに……」


難波くんには、あたしの下駄箱に入れてって言ったはず。

だけど、これがここにあるってことは……。

そっと愛着の湧いた自分の、スマートフォンを手に取れば、間違いなく、あたしのだって分かる。



「そういえば、眠る前に、誰かがそばにいたような……」



聞き覚えがあるなって思ったけど、あれってもしかして……。

もしかしなくても、難波くんだった!?


でも。このスマートフォンがその証だよね。


「難波くん、会いに来てくれたんだ……」


それにまた、涙が零れる。

初めて、あたしに会いにきてくれた人。

難波くんからしたら、ただ携帯を返すためだけだったかもしれない。

だけど……どんな理由でも、誰かとこうして繋がれることは、嬉しかった。


「ありがとう、難波くん……」


少しだけだけど、あたしも普通にの高校生みたいに、話せる人がいるんだなって、救われたから。



胸の中に生まれた、あったかい気持ちが逃げないようにと……ギュッとスマートフォンを抱きしめた。