「ご、ごめんね!何でもないからっ」

「そうか、ならいいけど……泪」


不意に、透お兄ちゃんの声が真剣味を帯びた気がした。

なんて、顔が見えないから分かるはずないのにね。

ただ、そんな気がしたんだ。



「頑張れ、泪」

「あっ……」


どうして、分かったのだろう。

その一言は、明らかにあたしへのエールだった。

だけど、いつも見守ってくれてた家族だからこそ、分かったのかもしれない。


「うんっ、ありがとう、透お兄ちゃん!」

「おう、じゃあおやすみ」


そう言って、透お兄ちゃんの足音が遠ざかる。

うん、頑張ろう。

あたしを応援してくれた、みんなのために。


「よし、押すぞ!!」


言葉にした方が、勇気が出る気がしたあたしは、ボタンに指をかざして声を出す。


その時だった。


――♪〜♪〜♪〜


「えっ!?」

まさかの、このタイミングで着信??

ディスプレイを見れば、そには……。