「夕美ママのことはどうでもいいけどさ、早く八雲と仲直りしなよね」

「八雲と仲直り……」

「環奈も、八雲のこと好きだったけど……。八雲の目には、泪しか映ってないから」

「環奈……」

「環奈、溺愛されたいタイプだしぃ、環奈以外の女の子に夢中な八雲にはもう興味ないんだよね」


そうは言ってるけど、環奈はまっすぐな人だ。

だからきっと、八雲のことが好きだったのは本当だろう。

そして今も、あたしと八雲のために身を引こうとしてくれてる。


それなのに、あたしは……ワガママだ。


好きだからこそ、八雲の存在が怖かった。

いつ、中学の時みたいに拒絶されるかって。



「でも……いつまでも八雲から逃げてたらだめだ」


あたしを応援してくれた環奈のためにも。

このままのあたしでもいいって、ふたりに教えられたから。

それに、辛い時にそばにいてくれて、笑顔にさせてくれたのは八雲の存在。

今度は……あたしが、八雲と向き合う番だ。



「もっ、もし、八雲が泪のことイジメたら、抱きしめてあげなくもないし…」

「なんで急にツンデレになるのよ、環奈は」

「う、うるひゃい!」

「ふんっ、噛んでるじゃないの」



なんか、ふたりといると……。

だめだ、笑いがこみ上げてくる。