ーーカタンッ。
「なんだよ、寝てるのかよ……」
ウトウトしかけた時だった。
あたしのすぐ頭上で、聞き覚えのある声が聞こえる。
あれ、この声ってどこかで聞いたな……。
んー……どこだっけ、わりと最近で……えーと、めちゃくちゃ笑われたんだよ。
えっと、誰にだっけ……あぁ、眠くて頭働かない……。
「ふーん、寝てると、昨日のお転婆ぶりが嘘みたいだわ。あ、髪もすげぇ綺麗……」
スルリと、髪を梳かれるのが分かる。
勝手に、触らないでよ、変態……。
そうだらこの人チャラ男だったんだった。
「携帯、雪人に渡すくらいなら、俺に直接渡せよなー。俺、アンタに一番に会いたかったのにさ」
そんな、誰にでも言ってるくせに……。
女の子は、全員把握してるんでしょ……。
「今度は、絶対起きてろよな、泪」
あたしの、名前……。
学校で、下の名前で呼ばれるのなんて、たぶん初めてだ。
でも不思議だなぁ……。
すごく、嬉しいんだ。
だから、あたしも今度は直接話してみたいなぁ……なんて、ぼんやりする頭で考えていた。


