「八雲と過ごすたび、この人のことをもっと知りたい、もっとそばにいれたらって……気づいたら好きになってたんだ」


八雲は、この学校で出来た最初の友達で、人生の中で出来た、最初で最後の恋人だった。


「八雲に恋をしたから、あたしは夕美や環奈……紫藤くんに中野くんたちと友達になれたの」


「難波くん……チャラ男だと思ってたけど、泪には真剣だったものね」


夕美も納得したように首を縦に振ってくれる。

そう、八雲はいつもあたしに向き合おうとしてくれてた。

八雲にも、あたしの病気のこと、本当は直接話すべきだった。

誰かに聞くみたいな、あんな形ではなくて、ちゃんとあたしの口から。


「でも、どんなに八雲を好きでも、みんなを友達と思ってても……この病気のことだけは言えなかった」


「中学で……イジメられてたからでしょ。環奈も、嫌われるタイプだから分かるよ……人間不信になるよね」


環奈……。

環奈も言い返せるようになるまでに、たくさんの苦労をしたのかもしれない。


「自分で思ってたよりずっと……中学の頃に出来た傷が深かったみたい。それで、なるべくみんなと同じになろうとしたんだ」


普通の人のフリをして、みんなから嫌われないようにって。

だけど、そんなのは無理だった。

嫌でも眠りの周期は来るし、そんなの隠しきれるはずなかったんだ。