「あたしね……」
だから、話してみよう。
八雲が、あたしを好きでいてくれたから。
ふたりのことも、信じてみたい。
「あたし、過眠症で……数ヶ月周期で、一日の半分以上を寝て過ごしちゃうことがあってね……」
声が、机についた手がカタカタと震える……。
自分から、この病気のことを話すことが堪らなく怖かった。
「……朝は起きれなくて学校も休みがちで、授業中に寝たら起きてこれなかったり……。それが原因で、中学では、誰にも理解されなくてイジメられたりもした」
「そうだったの……」
「だから、ずっとひとりでいるべきだと思った。でも……やっぱりひとりは寂しくて、そのたびに仕方ないことだって諦めてた」
夕美が、あたしを労わる様な眼差しで見つめてくる。
それに、ぎこちなく微笑んだ。
そう、あの頃は、今よりずっと簡単に諦められた。
仕方ないこと、変わらない未来なんだからって。
「でもね、そこに八雲が現れた」
「八雲??」
不思議そうな顔をする環奈に頷く。
「八雲とは、不思議なくらい会話が弾んで、不思議と居心地が良いなって……」
出会ったばかりの頃が、今では懐かしく思える。
八雲と話す時間は、あたしにとって……一番楽しいと思える瞬間だったんだ。


