「何言ってんだよ、俺は泪が病気だって……」
「お願いだから!!」
八雲の言葉を遮って、あたしは叫んだ。
ねぇ八雲、お願いだから……。
「これ以上、引き返せなくしないで!!もう、傷つきたくないからっ!!」
「なっ、泪!!」
あたしは、八雲から逃げるようにふらつく足取りで保健室を飛び出した。
「待てって、泪!!」
「こ、来ないでっ!!」
あたしは、廊下を必死に走る。
本当は、引き返せないことなんて、分かってる。
それほど、八雲のことが好きでたまらないって。
でも……っ、認めたくなかった。
だって認めたら……別れが辛くなるでしょう?
「はぁっ、はっ……」
昼休みなのか、みんなが購買の袋を持った生徒たちとたくさんすれ違った。
「あれ、泪ー!?」
「環奈、そんなに大きな声出さないでよ」
「だって、目の前に泪がいるんだもん」
あたしの数歩前に、環奈と夕美が現れる。
ふたりも購買からの帰りなのか、袋を持っており、あたしに手を振っていた。


