「でも……八雲はあたしの隠したかったものを知っちゃった」
「なぁ泪、知ったからこそ……なおさら泪を守りたいって思ったんだ。だから、これからは……」
「やめて!!」
あたしは、耳を手で塞ぐ。
どんなに塞いだって、声は手を通過して聞こえてくるから嫌だ。
「どんなにみんなと授業を受けたくても、八雲とデートしたくても出来なくなる……」
そう、いつも目が覚める度に失望した。
また、あたしは無駄に眠ってしまったんだって。
何のために生きてるんだろう、ご飯やトイレ、生きるために必要なこと以外は目覚めない生活。
よくなっても、数ヶ月後にはまたこの繰り返し。
「誰にも理解されなくて、変な目で見られて……。みんなと同じになりたいのに、なれないっ」
「泪……アンタそんな風にひとりで……傷ついてたんだな」
あぁ、涙が止まらない。
悲しいっ、なんであたしは普通じゃないんだろう。
可愛くなくてもいい、美人じゃなくてもいい、スタイル抜群じゃなくたっていい。
勉強が出来なくたっていい、ただみんなと同じように過ごせたらそれだけで良かったんだ。
「八雲と付き合ってても、デートだって眠って行けなかった。一日、下手したら何週間も眠って……八雲だって、こんな彼女嫌でしょう!?」
あたしは、八雲とは違う欠陥品で……。
普通に恋愛なんてしちゃダメだったんだ。
なのに、好きになることを止められなかった。
好きが愛に変わるまで……大事な存在になってしまった。


