「どうして、そこまでしてくれるの……」
「泪のことが好きだから」
「っ……あたしはっ……その気持ちを返せないのに?」
好きだけど、もう好きな人を作るのは……嫌。
傷付くくらいなら、知らない方がいい。
大切になる前に、遠ざける方が楽だから。
「返してもらわなくてもいい、俺が勝手にアンタを好きなんだからさ」
「バカ……だなぁ、八雲……は……」
まだ、ぼんやりする。
だけど、勝手に好きでいてくれる八雲。
どこまでもまっすぐな言葉に、怖いけど、信じたいと……思ってしまう。
「うっせ、泪のことならバカでもいいんだよ、俺は」
「そう……なんだ、やっぱ……バカ……」
でも……。
どんなに君が好きでも、あたしは……この気持ちを胸の中に閉まっておくって決めたんだ。
「なぁ、泪」
「う、ん……」
八雲の温もりに抱かれて、あたしは安心したからか、眠りに落ちそうになる。
かすれる声で返事を返せば……。


