「だから……」
言いいかけた八雲の手があたしの頭に乗ろうとした瞬間に、動きを止める。
え、八雲……?
困惑しながらその手を見つめると、、八雲は拳をギュッと握って、腕を下げてしまった。
「触れる資格、無いからな……」
「っ……八雲……」
俯いた八雲に、今度はあたしが手を伸ばそうとした。
本当は、触れて欲しかったなんて……。
口が裂けても言えないよね。
だからあたしは、そっと手を胸に引き戻し、ギュッと両手を握りしめた。
辛そうに眉を寄せて、それでも笑おうとする八雲に泣きたくなる。
こんなにも好きなのに、どうしてこんなにもきみとの距離を感じるんだろう。
一歩、ただ踏み出せばその胸に飛び込めるのに。
恋は、幸せ気分だけじゃなく悲しみも連れてくるんだと、八雲と出会って知ったよ……。


