「だから、きっとこれで良かったんだよね……?」


鏡の向こうに映るもうひとりのあたしに尋ねる。

だけど、もうひとりのあたしも、不安で寂しくて……悲しくってたまらないって顔で。

答えなんて見つかってないように思えた。



そんな自分の気持ちから目をそらすように、あたしは手を洗ってトイレを出る。


「泪」

「えっ……」


ふと声をかけられて、そちらを向けば、壁に八雲が寄りかかっていた。

嘘っ、八雲あたしの後追いかけてきたの?

どうしよう、早く逃げなきゃっ。


「待てって、泪!!」

条件反射で後ずさると、強く手首を掴まれる。



「い、いやっ、離して!!」

「嫌だ……離したくない」

「やめてよっ、もうあたしの心の中、掻き回さないでっ」


八雲のことを考えると、痛いのっ。

胸も頭も……心がきみを欲して、それを必死に抑えようとすることが、どれだけ辛いかっ。

八雲には、きっと分からないっ!!