そして、しばらく歩いて、ふたりの姿が見えなくなった所で、あたしは泣き崩れた。
「ううっ、八雲どうしてっ……」
追ってきてもくれない。
なにより、ずっと嘘をついてきたの?
後戻り出来ないほど好きにさせておいて、こんなのって無いよっ。
「泪……環奈も、これは許せない」
環奈は手を繋いだまま、あたしの目の前にしゃがみ込む。
「ううっ……でも、まだ好きなんだっ」
「うんっ、簡単に諦められないから……嫌だよね、恋って」
「女々しいな!」とか、「シャキッとしなよ!」とかって。
環奈に怒られると思ってたけど……。
「環奈もムカついたから、環奈が泪の分も八雲のこと殴ってくるよ」
「え、殴るって……」
驚いてる環奈の顔を見ると、環奈は慌ててプイッとそっぽを向いてしまった。
え、環奈……??
どうして、そっぽむいちゃったんだろう。
「だから、な、泣かないでよね!アンタが泣いてると……調子狂うんだからっ」
そう言った環奈の耳は赤かった。
あ……そっか、環奈はあたしのことを励まそうとしてくれたんだ。
なんて、不器用なんだろう……。
でも、なんて優しくて強い女の子なんだろう。