ーードキッ、ドキッ。

心臓が暴れて、口から飛び出そう。

そんなことあるわけないのに、そのくらい苦しいんだ。


そう……八雲のことを考えると。


「いつでも、心臓おかしくなるくらいにアンタのこと考えてる」

「や、八雲……」


「泪は、俺が本気で誰にも渡したくない、最初で最後の女の子だって思ってるのに、まだ分かんねーの?」


まっすぐ射抜く熱い視線。

その瞳の中にあるのは、あたしを狙った獣の瞳のようで、身動きが取れなくなる。


こんな八雲の目、見たことない。

こんな一面も、八雲にはあったんだ……。


「それを、必死に隠して、アンタに女々しいって思われないようにな」


「別に、女々しいなんてっ、思わないし……」


あたしも、同じだよ。

平然を装って、今もこうして可愛くないことを口走る。


素直に、八雲のことを考えておかしくなりそうって、言ったら良かったのに。


八雲の前だと、変に意地張っちゃう。

素直になれなくて、いつものあたしじゃないみたいになる。