「幸人、和輝……泪は俺の彼女だから、手ぇ出すなよ?」
「……八雲、なら泪ちゃんに寂しそうな顔させんなよな」
そう言ったのは中野くんだった。
あたしの表情に気づいてたのは、紫藤くんだけじゃなかったみたい。
本当に、すぐ顔に出ちゃうの、なんとかしないとな……。
「でないと、俺も泪ちゃんのこと……」
「中野くん……?」
意味深に向けられる中野くんの視線。
それに戸惑っていると、ふいに視界が暗くなった。
「あいつのこと、見つめんな。俺の事だけ見とけって」
耳元で聞こえる声に、八雲に目を手で塞がれたのだと気づく。
俺の事だけ見ててって……。
あたしは初めから八雲のことだけを見てる。
「あたしを見てないのは八雲の方だよ」
「え……」
驚いてるのが、見えなくても分かった。
あたしはそっと視界を塞いでいる手を剥がすと、八雲の方を振り返った。


