「もうさ、俺たち下の名前で呼び合わない?」
「え……と、うん」
そう、八雲と同じことをしてるだけ。
だから、責められる筋合いなんてない。
なのにどうして……。
「泪ちゃん」
「あ……か、かず……」
どうして、止めてくれないの八雲。
あたしを振り返ってくれないの。
環奈ちゃんばっかり見つめてないで、あたしを見て、お願いっ。
「へぇ、なら俺も泪ちゃんって呼ばせてもらおうかなぁ」
突然、紫藤くんが大きな声でそう言った。
まるで、誰かに聞かせるような……。
「待て、何の話してんだよ?」
八雲が慌てたようにこっちを振り返った。
「いーや、俺たち泪ちゃんって呼ばせてもらおうと思って……ね、泪ちゃん?」
紫藤くんに優しく右手を握られる。
そして、あたしにだけ分かるようにパチンッとウインクした。
まさか紫藤くん、八雲に聞かせるようにわざと……?


