「あたし、八雲に大嫌いって言っちゃって……それからちょっとギスギスしてるっていうか……」
「どうせ、八雲の女癖の悪さでしょ?」
「ううん、八雲は浮気とかそういうのしてないし……。ただ、あたしが勝手に嫉妬してるだけなの」
八雲の口から他の女の子の名前が出るたび、その手が触れるたびに苦しくなる。
「もっと、いい子でいたいのに……」
「……好きなんだから、ヤキモチは当たり前だって。神崎さんが悩んでるのに、意地張ってる八雲がバカなんだよ」
バ、バカとな……??
やっぱり紫藤くんって腹黒い。
だけど、その言葉はあたしを心配してくれてる。
「ありがとう、でもちゃんと謝らなきゃ……」
どんな理由があったにせよ、大嫌いだなんて言い過ぎだしね。
それを聞いていた紫藤くんは、一瞬驚いたように目を見開いてすぐにクスッと笑った。
「神崎さんって、すごくいい子だね。健気だし、つい助けてあげたくなる」
「え?そ、そうかな??」
王子様スマイルきた!!
なんというか、とてつもない破壊力だ。
でも、あたしが見たいのは……。
前を歩く八雲の背中を見つめると、なおさら思い知らされるんだ。
本当は……八雲の笑顔が見たいんだってこと。


