「八雲は、あたしにたくさん幸せをくれるんだね」
「泪……バカ、アンタなんでそんな純粋なわけ?可愛いにもほどがあんだよっ」
たまらないと言わんばかりに八雲が人目をはばからずギュッと抱きしめてくる。
「おっ、おい八雲!!ずるいぞ!!」
「中野くん、ずるいって……注意する理由がどうしようもないわね」
叫ぶ中野くんに、呆れる三枝さん。
やばいっ、ここが教室なのを忘れてた。
今更、恥ずかしくなってきたーっ!
「親睦も兼ねて、みんなでカラオケなんだって」
紫藤くんがまたまた絶妙のタイミングで話をそらしてくれる。
ここまでくると、やっぱり気を遣ってくれたんだよね?
「紫藤くん、ありがとう〜」
たくさん、気を遣ってくれて!
赤面を晒さずに済んでるのは、紫藤くんのおかげだ。
助けられてます、本当に。
「ん?あぁ……ふふっ、どういたしまして」
何に対してのありがとうなのか、紫藤くんは分かってるみたい。
意味深に微笑んで、シッと人差し指を唇に当てた。
ううっ……それすらも、色っぽい。


