***
放課後、カバンに教科書を詰めていると、そばに八雲がやってきた。
「泪、これから校外学習メンバーで、カラオケに行くってよ。泪も行くだろ?」
「カラオケ?」
カラオケ……放課後に、友達とっ!
クラスの友達と放課後に出かける……。
ずっと夢見てた青春を謳歌してるってシチュエーション。
「だめだ、感動して泣きそう」
「は!?なんで、泣きそうになってんの?」
八雲が慌てたようにあたしの顔を両手で包み込む。
「なんていうか、夢がまたひとつ叶った気分なんだもん」
「夢??」
「ひとつは、恋をすること……それは、八雲が叶えてくれた。それで、もうひとつはこうして友達と青春すること!」
あぁ、あたし今すごく幸せ!
どうして、こんな人生上手くいってていいのかな?
これまで、誰かと生活することが怖くて堪らなかったはずなのに……。
でも、やっぱりひとりは寂しくて……。


