「泪?」
「あ……ううん、なんでもないよ」
笑ってごまかすと、八雲は何か言いたそうに口を開く。
でも、それを遮るように予鈴が鳴ってしまった。
「あとでな、泪」
「うん、あとでね、八雲」
ポンッとあたしの頭に八雲の大きな手が乗せられる。
八雲の手だ、ホッとする……。
それに笑うと、八雲は満足そうに頷いた。
「ぜってー、同じ班になろーぜ」
「八雲……うんっ、あたしも八雲と一緒がいい」
「っ、あんまし可愛いこと言ってんなよ」
顔を赤くして八雲が席へ戻っていく。
そんな八雲にクスッと笑ってしまった。
そして、ホームルームでの班決めは、あたしと八雲はもちろんのこと、紫藤くんに隣の席の中野くん、環奈ちゃん、クラス委員の三枝さんの6人になった。


