「みーーっけ」
顔を下に向けていても分かる。
前に誰か立ってる…
だ、誰が顔を上げるもんか…
そうだ、寝たふりを…!!
「寝たふりするほど俺嫌われちゃってるのかなーー」
……バレてるし…
視線も痛いし、もうダメだと思って仕方なく顔を上げる。
「…あ」
「んーーメイクしてないから今まで気付かなかったのかー
この前は逃げてくれちゃって、どうも」
凄い嫌味たっぷりに笑ってくるこの人は…
「あ、あの女好きの…!!」
ヤバイ、声に出てた。しかも結構大きめに…
「女好きは酷くねー?まあ、合ってるけど笑」
「いやーそれよりさ、探すの結構手間取ったんだよね…」
い、いやいや知らないし…関係ないよね?!
「これはもう俺と付き合わなきゃダメだよね?」
「は?」
さっきまでうるさかったクラスの話し声もぴたっとやんで、怖いくらい静かになった。

