「おかえりーってちょっと璃乃?!
ご飯は??!」

「いらない、ごめん寝るから!!」





自分の部屋のドアをばたんと閉めてベッドにダイブする。


頭の中がまだぐるぐるしてる。

わからない、もう何も考えられない。


っていうかさっきまでのは…ちゃんと現実のことだった?





「ははっ…」





逃げてきちゃった…


あんなこと…本当は言うはずもなかったのに…





出会って、あいつのことを色々知って最低なやつだと思った。


女の子の気持ちなんか何も考えない最低なやつだと。絶対に好きになんかなるもんかって。


でも一緒にいるうちに、優しいところとか実はメロンパンが好きな素朴なところとかマイナーなTwinkleのファンだっていうこととか男らしく守ってくれたところとか……


全部初めてでドキドキして、きっといつの間にか。





「…好きになっちゃってたんだな…」





相手は本気じゃないんだから好きになったって自分が傷付くだけだ。

だからそんな気持ちには蓋をしよう。



ただ蓋がその役割を果たせなくなった今、この気持ちはどうすれば良い?


もう気付いていないふりは出来ない。

伝えることも出来ない。


きっと月星は私から離れていくに違いない。




出会わなければ良かった、なんて。


自分勝手でごめんなさい。


本当は出会って良かった。一緒に過ごした時間は楽しくて仕方なかったから。


出会った相手が好きになる相手が月星じゃなきゃ良かったの…かな。


ううん、そんなことない。

きっと月星だから。


あの人だから好きになったんだ。