真っ白でふわふわなドレスに身を包む自分が鏡に映る。

髪型もメイクもプロの方にやってもらってキラキラしてる。

自分じゃないみたい。





「…お父さん。今日まで本当にありがとうございました…」

「やめろよ、月星くんに渡したく無くなっちゃうだろ…」





お互いに涙ぐんで視界がぼやけている中、目の前の扉が開く。


真っ白なスーツに身を包んだ月星が待っている。


私はこれから新しい名前で生きていく。

愛しい人と家族になる。



愛を誓い合い、皆に祝福されて。





「行っくよー!」





私の投げたブーケは綺麗に悠子の手の中に収まった。


隣にはあの人がいる。きっと、悠子も幸せになれる。



たくさんの人の中、私はある人を見つけ駆け寄った。





「幸大くん!」

「璃乃ちゃん…
この度はおめでとうございます!
…凄く、凄く綺麗です」

「ありがとう…」





幸大くんとは高校を卒業してもちょこちょこ連絡を取っていた。





「松下くんは幸せ者ですね。
こんなにいい人をお嫁さんに貰って」

「そんな、やめてよ。
恥ずかしい…」

「本当のことじゃないですか〜」





幸大くんは高校の時より少しだけ垢抜けたように感じる。

今は同じ大学の子と付き合ってるそうだ。





「おーい、璃乃!橋本も!
こっちで写真撮るぞー!!」





愛しい月星の声。





「行きましょう」

「うん」





ドレスを持ち上げながら走る。





「お待たせしました!」

「じゃあ写真撮りますよ〜
はい、チーズ!」












この時の写真は今も尚、リビングに飾られている。





「ママー…
もうお家出る時間だよ?
私も今日から小学生!」

「ふふ、緊張してないの?」

「ぜーんぜんっ!
楽しみだよ!」





高校時代は1番色鮮やかで、楽しかった。

例えもう1度人生をやり直せたとしても、同じようにするだろう。





「もう小学生か…
早いもんだな」

「これからもきっとすぐに時間は経っちゃうんだろうね…
一瞬一瞬をもっと大事にしていかないと」

「もうー
ママーパパー?!
早く行こうよーー」





私の愛しい子を愛しい人と一緒に見守ることが出来る。

幸せ以外の何物でもない。





「「はーい!」」





私は今日も愛しい人の手を握って歩んでいく。


振り返ることはしない。


後悔なんて、何一つないから…




【うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで】Fin...