「…お、小山内先生?!」

「月星くん?これはどういうこと?」





さっきの声の主は…

あの女性、小山内 桜さんだった。





「俺たち、ちゃんと話し合ったんです。
それで分かり合えた。璃乃をちゃんと幸せにするって決めたんです。今まで相談に乗ってくれてありがとうございました」

「そう。
結局はハッピーエンドって訳ね?」





はぁ、と息を吐く。

その行為には怒りが込められていて空気が張りつめる。





「お、小山内先生…?」

「…こんな子のどこがいいのよ。
顔もそこまでだし頭だって平均以下じゃない」

「あの、まさかこの紙って…」





そう私が紙を見せると小山内さんは高笑いをする。





「あはははははっ!そうよ。
だっておかしいじゃない!月星くんは私のものなのに…」

「で、でも結婚したんじゃ…」

「あんなのただの政略結婚よ!
最悪な、ね!
縁を切ってこっちに帰ってきたら月星くん彼女作ってるし…」





そしてまた深いため息をつく。





「別れさせようと思ったのに…
結局はハッピーエンド。面白くない。
もういいわ」





長い髪を払って来た道を戻って行く。


息をするのを忘れるくらいの衝撃的な時間だった…





「…一件落着…?」





そんな空気を切ろうと放った言葉。





「俺が原因だったわけか。
重ね重ね、ごめんな」

「ううん、月星は悪くないよ!」





そう言ってもう1度月星に抱きつく。





「良かった。
これでやっと普通に月星と一緒にいれる…」

「ああ」





ぎゅーっと。


苦しいけど、幸せでいっぱいになった。