「…る、月星?!」
私の家の前に月星がいた。
「璃乃!
あの、話があって…」
「…この紙のこと?」
私がその紙を見せると月星は目を見開いた。
「そ、それどこで…」
「さっき、月星が昨日一緒にいた女の人に会って…聞いたの。
どうして何も言ってくれなかったの?」
渋々というように月星は口を開いた。
「悪かった。
その…言ったら璃乃が自分を責めると思って言えなかった。
俺は璃乃と一緒にいたくて一緒にいる。誰に何て言われようと俺は璃乃の隣にいたい。
でも…そう思って取った行動が結局は璃乃を傷付けてたんだな…ごめん」
「あの女の人は?」
「前に怜央から少し聞いたと思うけど…あの人は俺が中学の時に家庭教師だった小山内 桜(おさない さくら)先生。
ばったり会ったんだ。俺が悩んでるのに気付いて相談に乗ってもらってた。
でも璃乃が思ってるような関係じゃないから…!」
…私の勘違いだったんだ…良かった。
「私こそごめん!
月星はそんなことするような人じゃないって分かってたのに…なのに疑った。
こんなんじゃ彼女失格だよね…」
「そんなことない!
俺こそ不安にさせて悪かった…
これからはもっとちゃんと話し合おう」
「うん…」
久しぶりに抱き締めた月星から体温を感じて、それまでの不安だった心は溶けてなくなっていった。
体全体が暖かくなる。
安心したせいか涙が頬を伝って止まらなくなる。
「る、月星ぁぁぁー」
「よしよし、ごめんな?」
いつまでも頭を撫でていてくれた。
「…はぁぁ?!」
声が聞こえるまでは。