僕がそう言うと松下くんは何かを決めたように

悪い…!

と言って走って行ってしまった。



…これで良かった。

これできっと明日から璃乃ちゃんは心からの、本当の笑顔を取り戻す。

良かった。



自分の手で出来なかったことを残念に、悔しく思うけれど…


僕の好きな人には幸せでいてほしい。

例え隣にいるのが僕じゃなくても…


ずっとそう思ってたし、今も心からそう思うのに。

込み上げてくる感情は、熱いものは何だろう。



何故僕は唇を噛み締めてる?

何故少しだけ後悔してる?



これで良かったと思うのに。

やるせないこの気持ちはどうすればいい。


僕はこんなに重いやつだったか…



1度眼鏡を外して、両手で顔を覆い一息ついてから再度眼鏡をかけて歩き出す。


これからきっと2人の間には誰かが入る隙なんかなくなる。

僕の想いも行き場がなくなってしまうけれど、将来でもこの想いを大事にできたらいいと思う。




璃乃ちゃんと松下くんの恋に幸あれ!



--Kota:Side End--