「貴方が璃乃ちゃんの前に姿を現さなくなってからずっと僕が隣にいました。彼女の変化を見てきました。だんだん不安が募って、元気がなくなっていく様を見ていました。
…見ていたのに何も出来なかった。
貴方じゃないとダメなんです。

昨日、貴方とあの女性が一緒にいるところを見て酷く傷付いたようでした。なのに今日、璃乃ちゃんスッキリした顔をしていた。何故だか分かりますか?
…好きだから信じることにするって。昨日見たことも何か理由があるんだろう、貴方がちゃんと話してくれるまで待つって。そう言ってました。

恥ずかしかった。松下くんの出来事を機に少しでも璃乃ちゃんの心の中に入れたら、少しでも振り向いてくれたら…って浅ましい感情を抱いていた自分に嫌気がさしました。

彼女の心の中には貴方しかいない。

口では何と言ってても不安なことに変わりはないと思います。

そんな不安を取り除くより、笑顔にするよりも大事なことって何ですか?
…ありませんよね…!?

ちゃんと璃乃ちゃんと話してきてください。

これでもまだ行かないって言うのなら僕は本気で貴方を軽蔑します。
本気で貴方を璃乃ちゃんから引き離します。あることないこと言って璃乃ちゃんの中の松下月星像を汚します。

…そんな誰も幸せにならないようなことさせないでください」

「…橋本…」

「早く行ってください!」