--Kota:Side--


「松下くんの後つけてみますか?」





そう言ったのは彼女のためか、自分のためか。

これを機に松下くんへの心が離れるんじゃないか…


そんな感情がなかった訳ではない。

あわよくば…と。


ただ、松下くんと女性が一緒にいるところを見た璃乃ちゃんの表情は想像したよりずっと胸を締め付けるものがあった。


結果、彼女を傷付けてしまった。



翌日、教室に現れた彼女はやけにすっきりした顔をしていた。

何がそうさせたのか…その理由は明確だった。



結局は璃乃ちゃんは何があっても松下くんのことが好きだということだ。




そんな僕の足は無意識に松下くんの教室へ向かっていて、彼の後をつけていた。

すると昨日と同じカフェに入って行った。

昨日の女性も一緒だ。



先にその女性が店を出て行ったが松下くんはそのまま座っていた。


出てくるのを待つ。


女性が出てから30分ほど経って松下くんは店を出てきた。





「松下くん!」

「…は、え?橋本?」





心底驚いたような顔をしていた。





「さっきの女性は誰ですか?
昨日も一緒でしたよね」

「え、何。昨日もって…」

「すみません。
後をつけました、璃乃ちゃんも一緒に」





みるみるうちに青ざめていって、絶望という表情。