それから、私はジルに勉強を教わることになった。
もともと予定していたレッスンを私の要望を聞き最初は座学を増やしてもらい時間自体も延ばしてもらった。

ジルがしてくれるなら最初からちゃんと話を聞いておくべきだった。
それでも、ジルは私がやる気になったからと、見守ってくれてたのか・・・。


ジルってやっぱ、執事として完璧な人なんだわ。
気遣いとか、心配りとか、表情や口調はともかく抜かりないってわかるし。




「―――この争いをきっかけに、ダリウス王国との確執は深まっていったのです」

「ふぅん・・・。事の始まりはほんとうに些細な事なのね」

「物事というのは案外そういうものですよ。小さな行き違いから生じる亀裂が徐々に広がって、取り返しのつかないものとなる」

「・・・うん」


前も軽く聞いた国のことを改めて詳しく教えてもらうことになった。
ダリウス王国との確執は、今に始まったことではなくもう100年近く相容れない関係が続いているという。
幾度も戦争が起こり、たくさんの命が消えていった。

いい加減、互いに血を流すことはしたくないと、冷戦を申込みなんとかたがいに同意したのがまだ5年という近い過去の事らしい。


そして、若き王、クロード国王が国王に即位したのが僅か1年ほど前。
気性が荒く、傲慢で俺様な態度のクロード国王は、その冷戦状態を解消しようと画策しているのではと噂されているらしい。