「ならば、元の世界に戻る方法を探しますか」
「っ、戻りたい場所はもうないって言った!」
ここで姫として生きるか、元の世界に戻るか。
そんな二択なら私は・・・。
だってもう、2人の元に行くという選択肢はない。
それが間違ってるって、認めちゃったから。
「はぁ。あなたは本当にイジイジと、どうしてそうも後ろ向きなんでしょうね」
ジルのため息。
呆れられた。
「・・・しかたないじゃん。それが私なんだから」
いじけてそう言って俯いた。
「きゃぁー!!泥棒よー!!」
突然後ろの方から叫び声が聞こえてくる。
周りの賑わいの雰囲気がピリッと張りつめたものに変わる。
泥棒って・・・。