きっと、これがあれば少しでも心は浮かばれる。
苦しい時も、辛い時も、きっとこれがあれば。
これは、ジルが私を想って私のためだけに選んでくれたもの。
私だけのものだから。
「ありがとう、ジル」
「いえ。これくらいの事、いくらでもおっしゃってください」
ジルは、知っているだろうか。
ずっと思っていて、聞けない。
私が、シーエン王国に嫁ぐかもしれないこと。
知っていたら、それについてどう思っているのか。
ジルの想いが知りたい。
私の事を好きだと言ってくれた。
でも、ジルが執事の仕事を誇りに思っていることも、ジルの真面目な性格も知っている。
今は、私のために執事としてのしきたりから外れてくれているけれど。
それは、周りの目のない二人きりの時だけ。
公にすることはできないし、ジルに迷惑はかけたくないから私もそれは望んではいないけど。


