決まったわけではない。
王さまはそう言っていたけれど、わざわざ呼び出して言ったってことは、そういう要求がある可能性が高いってことだよね。
王さまの執務室を出て、部屋に戻って、一人で考え込む。
ジルには、なんの話だったかは話していない。
話せるわけないよ・・・。
せっかく、ジルが素直に気持ちを伝えてくれて、ノエルだってあんなにも喜んでくれたのに。
もしかしたら、私は他の誰かの元に嫁ぐかもしれないなんて。
でも・・・。
ジルも、もしかして知っているのかな。
もし、そうなったら・・・、きっとジルはすぐに身を引くだろう。
執事として一番ふさわしい行動を選ぶ人だから。
どうしてこんなにもうまくいかないんだろう。
私はただ、幸せになりたいだけ。
ただ、ジルの側にいて普通に生きていきたいだけなのに。
私がしてきたことって、なんだったんだろう。