「・・・ノエル、お願い。外の空気を吸いに行きたい」
「ああ。それは、いいが・・・。付き添いは、俺でいいのか?」
「・・・うん。ノエルがいい」
戸惑ったように聞くノエルに私はそうはっきりと答えた。
小さな抵抗だった。
私はノエルにエスコートされながら馬車を降り、少し開けた場所に座った。
外に出て新鮮な空気を吸えば気持ち悪さは多少軽減される。
気持ち悪いおかげで、体調が悪い顔色は誤魔化せている様でホッとする。
大事な公務だと言っていた。
看病してもらいたくないっていう理由だけじゃなく、ちゃんと公務をやり遂げたい。
「ジルと、なんかあったのか?」
「・・・別に」
ノエルがたまらずそう尋ねる。
私はぶっきら棒にそう答えた。
「別にってことはないだろ。明らかに変だろ」
「別に・・・。ただ、私が舞い上がって勘違いしてただけ」
「は?勘違い?」
「そう。そんなの違うって、わかりきってたことなのに・・・」
ジルが仕事熱心なのは、最初からわかってたこと。


