「ひな様、私の方こそひな様に謝らなければなりません」
「え・・・?」
「もとをただせば、私がひな様に何か気分を害することをしてしまったのでしょう。そのため、ひな様は飛び出して行かれたのですから」
「あ・・・」
そうだ・・・。
私、ジルに八つ当たりをして・・・。
「ちが・・・、あれは、ただの八つ当たりで・・・」
「八つ当たり?」
「・・・これ。ごめんなさい。勝手にもってきてしまったの」
隠し通しておけるわけがないし、ジルの大切なものを隠したままにしておきたくない。
私は覚悟を決めて机の中にしまいこんだ写真を差し出した。
ジルはそれを見て一瞬目を見開くけど、すぐいつもの無表情に戻る。
「これは、どこで」
「眠っている時、ジルがもっていたのを見つけて。皺になったらいけないと思って・・・見るつもりはなかったの・・・」
なんて言い訳がましいんだろう。
見るつもりはなかったけれど、でも多分、どんな理由でも見てしまったと思う。
ジルが大切そうに握りしめているものに気づいたらそれを知りたいと思ってしまうはずだもの。


