「ジルこそ、どうしてあそこにいるってわかったの?」
「ひな様の目撃情報を辿ったのです」
「目撃情報・・・」
聞き覚えのある言葉に苦笑する。
確かノエルもそんな事を言って私を探してたっけ。
まるでお尋ね者みたい。
「あの場所は地下に降りてすぐの食糧庫です。あそこが違えば他の扉も一つずつ調べるつもりでした」
そこまでして私を探してくれてたんだ。
自分の考えない行動に胸が痛む。
いつだって私の甘い考えで。
ノエルにだって甘ちゃんだって言われたばかりなのに。
「ごめんなさい・・・」
「いえ。ですが、確認せずに扉を閉めた者には厳重に注意が必要ですね」
「いいから!私の不注意だし!それに誰かなんてわからないし・・・。食糧庫に閉じ込められるお姫様なんてかっこ悪すぎるから大事にしてほしくないの」
私は必死にそういうと、ジルは呆れたように肩をすくめた。
誤魔化すためだけどほとんど本気だった。
これ以上不満の要員を増やしたくない。
嫌われるのは、怖い。


