「なぜあのような場所にいたのですか」
「・・・闇雲に走ってたらいつの間にかたどり着いてたの」
「ではなぜあのような場所に閉じ込められていたのですか」
「それは・・・」
助け出された後、ジルが大事にしようとしたのを必死で止めて宥めた私は、自室に戻り温かい紅茶を飲んで体を温めながらジルに問いかけられていた。
「闇雲に歩いて中に入ったら、私がいることに気づかずに誰かが閉めちゃったみたいで・・・ごめんなさい」
私はそう言って謝ると頭を下げた。
本当のことは言えなかった。
誰かに無理やり引きこまれ閉じ込められたなんて。
ジルにこれ以上余計な心配をかけたくない。
それに、この城に私に不満を持つ人があの人たち以外にもいるんだって・・・知られたくない。
がっかりさせられたくない。
まだ認められないなんてって、ジルに呆れられたくない。
私がこれからもっともっと頑張ったら、見直してくれるかもしれない。
考え直してくれるかもしれない。
そんな風に、自分に都合よく考えて私は問題に蓋をした。


