完璧執事の甘い罠



姫らしさ、なんてわからないけど。
でも、仕えてもらう以上は、しっかりと弱いところも見せないように、仕えてくれる人たちが不安にならないように。


きっとそれが、上に立つ者の責任ってやつだ。



王さまに会った時のオーラを思い出す。
貫録があって、どこか安心感があった。

きっとそれが、上に立つ者の姿で。
私はそこを目指さないといけないんだ。



そこが私に残された道で。
生きるべき場所で。



他には何もないのだから。




「よし」




全て吐き出し、口をゆすいでスッキリして落ち着いた。
一呼吸おいて私は立ち上がるとお手洗いを後にする。



真っ直ぐ執務室に向かうとジルがレッスンの用意をして待っていてくれていた。




ジルの期待に応えたい。
今の私の行動する意味。




「おまたせ。始めよっか」

「はい」