矛盾だらけで混乱する私の気も知らずに、智也先輩は私を抱きしめている腕の力を強めた。



「お願いだから聞いて……」



そんな悲しそうな声はずるい。


いつも偉そうな言い方なのにこんな時に限ってお願いなんてずるい。


聞かないわけにはいかないじゃん。



「……クソみたいな言い訳だったら先輩だろうが何だろうが海に沈めます」



「大丈夫。そんなことになる前に梨花を沈めるから」



こいつ反省する気ないだろ。


謝る相手を沈めてどうすんだよ。


もう許さないぞっ。


ってことで鳩尾を肘でドーン。