「彩香、起きなくていいの?」



お姉ちゃんの声に目を覚ます。



「え?」



寝ぼけた頭で考えようとするけど、なんにも出てこない。



「浴衣お母さんが準備してるよ?」


「あ!」



〝浴衣〟というワードで布団から飛び起きる。

今日は郁人とお祭り。
お祭りが初デートだ。



「やばーい髪の毛もぐちゃぐちゃ!」


「もーう!寝ちゃうからだよー。髪の毛はやってあげるから顔洗っといでよ」


「うん。ありがとう!」



あたしは部屋をでて階段を降りる。



「彩香寝てたの?」


「うん!」


「早くしないと。浴衣着るんでしょ?」


「うん!マッハで準備する!」



もうなんでこんな重要なときに寝ちゃうかなぁ。
昨日あまり寝付けなかったもんなぁ。
郁人のこと考えてばかりだったけど。


歯を磨きながらそんなことを考えて顔がにやけてしまう。
ふたりでどこかに行くなんて初めてで。
どうしたらいんだろう。